RPAができる業務とは?成功事例からわかるメリットとマクロとの違い

投稿日:2022年02月17日 | 最終更新日:2023年01月25日 | RPA

定型業務を自動化するツールとして「RPA」の普及がさまざまな業種で進んでいます。

導入することによって今まで手作業で行っていたバックオフィス業務を自動化でき、業務効率化や生産性の向上などさまざまなメリットがあります。

また、従来まで「マクロ」が業務を自動化するツールとして知られていましたが、
RPAとマクロには大きな違いが存在します。

本記事ではRPAとマクロは何が違うのか、RPAができることやメリットについてを実際にRPAを開発しているプロ目線で解説していきます。

この記事の監修者
佐藤 諒

RPA開発歴4年 / MICHIRU RPAエキスパート認定 / 業務改善アドバイザー

RPA導入代行サービスCoreBeeを運営しており、RPA開発に取り組む他、業務改善アドバイザーとしてあらゆる業種の業務改善に携わっている。

この記事を書いた人
津田 恭兵

2年前からRPA開発に携わっており、各企業のRPA開発と自社の業務効率化に従事しています。

RPAでできる業務とは?

RPAがこなせる業務として代表的なのはこれらの業務です。

  • 定型業務
  • 繰り返し業務
  • 情報収集・集計業務

いずれもRPAが得意とする業務であり、RPAに置き換えることで業務を最大限に効率化できます。

もしあなたの会社でこれらの業務が負担となっている場合は、RPAの導入を強くオススメします。

定型業務

定型業務とは開始から終了まで流れが決まっている業務を指します。

RPAは指定された手順に沿って動くロボットなので、定型業務をこなすにはもってこいのツールです。

例えば、

  • 請求書などの帳票作成
  • レポート作成
  • システムへのデータ入力

このような業務はRPAに置き換えやすく導入効果も得やすいのが特徴です。定型業務をRPAに置き換え、その分のリソースをより重要なコア業務に充てることもできます。

ただし途中で判断や思考が必要になる業務の場合、RPAでは対応できずに止まってしまう可能性もあるので注意が必要です。

繰り返し業務

RPAを導入することにより、単純な動作を繰り返す業務も効率化することができます。

例えば、

  • Excelデータの転記作業
  • メール送信
  • 基幹システムへ情報入力

こういった同じ動作の繰り返しをする業務は、人の手で行うと時間がかかったり入力ミスなどにも繋がってしまいます。また、長時間にわたる繰り返しによる従業員のストレスなども懸念されます。

RPAはこうした繰り返し業務も得意としており、繰り返し業務の手順を設定しておけばボタン一つで自動的に作業をこなしてくれます。

ロボットによる動作なので入力ミスなどももちろんありません。

繰り返し業務をRPAに置き換えることができれば、より多くの時間が生まれ、生産性向上に役立てられるでしょう。

情報収集・集計業務

RPAにはスクレイピング機能がついているものがあります。

スクレイピングとは?
スクレイピングとは、Web上から特定の情報を取得し、そのデータを使いやすく加工する仕組みのことです。例えばニュースサイトの見出しだけを取得して一覧にしたり、特定の商品の価格を取得し、価格帯を調べたりすることができます。

この機能を使うことによって、Web上からの情報収集が圧倒的に効率化できます。

例えば、物件情報サイトから物件ごとの家賃や間取りを一括で集計したり、ニュースサイトから見出しだけを抽出して一覧にしたりなど、手作業ではとても手間がかかる作業をRPAならボタン一つで完結します。

また、収集したデータを加工しやすいようにCSVファイルでエクスポートしたりすることもできるので、データ分析や市場調査をする際の手間を大幅に削減できます。

RPAを導入すればいろいろな業務にボタン一つで済ますことができるようになるので、業務効率化を考えている担当者様はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

RPAとマクロの違い

RPAとマクロの違い
ここまではRPAができることについて解説しましたが、従来の業務自動化ツールとして知られている「マクロ」とはどのような違いがあるのでしょうか?

両者の主な特徴

RPAとマクロの主な特徴を下記の表にまとめました。

RPA マクロ
対応範囲 ほぼすべてのアプリ上で動作可能 あくまでExcelの機能の一部のため、
Excel以外での動作は不可
専門知識 不要
(基礎的なITリテラシーは必要)
VBAというプログラミング言語を使って構築するので、ある程度の専門知識が必要。
導入コスト 数万〜数百万円程
(RPAツールにもよる)
無料

対応範囲について

RPAは基本的にPC上で動作するアプリケーションはほぼ全てに対応しています。

一方マクロについてはExcelの機能の一つなので、Excel以外の範囲では動作しません。「VBA」というプログラミング言語を使うことでWordなど他のOfficeアプリも操作できるようになりますが、RPAのようにさまざまなアプリを横断することはできません。

よって、RPAのほうが動作可能な範囲が広いのでさまざまな業務に適していると言えます。

ただしExcelの中で完結する業務の場合はマクロでも十分活用できますので、自動化ツールにお悩みの方はまず業務範囲を確認してから導入ツールを選ぶ必要があります。

専門知識は必要か

RPAを動かすには、専門的なプログラミング知識が必要なイメージが強いと思います。しかし、現在リリースされているRPAツールのほとんどが、難しいスキルを習得する必要なく簡単に使うことができます。

大規模な運用をする場合や、複雑な動作をさせる場合はRPA開発のスキルが必要となりますが、ほとんどの場合はあらかじめ動作のテンプレートが用意されており、クリックやドラッグの操作だけでロボットを構築することができます。

一方マクロについては、「マクロの記録」という機能を使うことにより専門知識は不要ででExcel操作を自動化できます。

マクロの記録とは?
マクロの記録とは、Excel上での人間の操作を記録し、そのとおりに動かすことができる機能。ただし記録できない操作などもあるので複雑な操作をしたい場合はVBAで拡張する必要がある。

ただし、マクロはVBAというプログラミング言語をベースに構築されており、複雑な操作をしたい場合はVBAを扱うための高度なプログラミングスキルを必要とします。

RPAには導入支援サービスなどもあるので、RPAスキルを持った人材がいないという場合やすぐに導入したい場合などは導入支援サービスを使うのも一つの手です。

また、RPAにもさまざまな種類のツールやサービスがあります。

数多くの種類があるRPAツールの中から最適なツールを選ぶ方法をこちらの記事でご紹介しています。

最適なRPAツールはどれ?無料から有料までおすすめ8選【徹底比較】

  • RPAにはどんなツールがあるのか?
  • 最適なツールの選び方
  • ツール選びの注意点

などの情報をこちらの記事で詳しく解説しています。

どのRPAツールを選べばいいのかわからないどんな種類があるのか知りたいといった方へわかりやすく解説しています。

あなたの会社のRPAツール選びのお役に立てれば幸いですので、ぜひご覧ください。

導入コストについて

RPAはツールにもよりますが中小企業で導入されているRPAツールにかかる費用の内訳は以下の通りとなります。

項目 金額
初期費用 0〜30万円
ライセンス費用 0〜50万円/月
サポート・その他費用 0〜5万円/月

中小企業で主に導入されているのはデスクトップ型のRPAツールです。

ツールによって異なりますが、RPAを運用するためにはだいたいこれだけのコストがかかります。

一方マクロについてはExcelの機能の一部なので、Excelがインストールされている場合は追加費用はかかりません。

なのでコストパフォーマンスの面で言えばRPAよりもマクロのほうが優れていると言えます。

RPAを導入する場合はマクロを使うよりもコストが高くなりますが、RPAによって削減できたリソースで生産性を向上させることができれば、RPAの導入コストを上回る利益を創出することができます。

ただし、RPAの導入したにも関わらず自動化できる業務が少なかった場合や、進め方を間違えてしまった場合は導入コストが無駄になってしまう可能性もあるので、導入前はしっかり計画を立てる必要があるでしょう。

マクロよりRPAがおすすめなのはどんな場合?

マクロよりRPAがおすすめなのはこんな場合です。

  • Excel以外でも様々な業務を自動化したい。
  • スクレイピングなどの機能を使いたい。
  • 高度なプログラミング知識を持った人材がいない。

上記に当てはまる場合はRPAの導入がおすすめです。

まず、RPAはマクロよりも対応できる範囲が広いので様々なアプリを横断させることができます。マクロのように特定のアプリ内に限られることはないので、PC上で行われる様々な業務を自動化させることができます。もし、Excel以外の範囲でも自動化したいという場合はマクロよりもRPAが向いていると言えます。

また、上記で解説したとおり、スクレイピング機能などのマクロにはない機能が付いたRPAツールがあります。情報収集などを効率的に行いたいという場合はRPAがおすすめです。

RPAを動かすためにプログラミングスキルは不要なので、わざわざスキルをもった人材を採用する必要もありません。

よって、様々な業務を自動化したい、情報収集にも役立てたい、簡単に扱えるものがいいと言う場合はRPAがおすすめです。

RPAの主な導入事例

続いてはRPAの主な導入事例をご紹介します。

大手製造メーカーの事務作業を自動化

こちらの事例はトータルの作業時間を約70%削減することに成功しました。

クライアントごとの膨大な数の注文内容を基幹システムへ入力する作業、請求書の作成といった業務をRPAで自動化しました。

それによって工数を圧倒的に削減することができ、それによって生まれたリソースをより専門的な業務へと切り替えることができました。

経理部門の主要な業務を自動化

こちらの事例は月間約40時間の作業時間削減に成功しました。

ネットバンキングの取引データを別の会計システムへ転記する業務をRPAで自動化しました。従来は1件ずつ手作業で行っていたため入力ミスや繰り返し作業による疲労・ストレスなどの課題がありました。

RPAに置き換えることによりそれらの課題を解消することができ、より重要な別業務へ注力できるようになりました。

マーケティング部門の情報収集業務を自動化

こちらの事例はトータルの作業時間を約80%削減することに成功しました。

スクレイピング機能を使い、ランキングサイト上の自社商品の口コミ情報を収集してExcelファイルにまとめる作業をRPAで自動化しました。

また、日々の広告データのレポート作成もRPAで自動化し、手作業で行っていた業務の効率化に成功しました。

上記でご紹介したもの以外の事例はこちらの記事でご紹介しています。

RPAで絶対に得する業務一覧と事例集!

こちらの記事では

  • RPAはどんな業務に向いているのか。
  • RPAはどんな働きをしているのか。

について業界ごとの事例を交えて解説しています。

より詳しい導入事例を知りたい方自動化したい業務にお悩みの方へのお役立ち情報をたくさん掲載しておりますのでぜひご覧ください。

RPAを導入するメリット

続いては、RPAを導入することでどのようなメリットが得られるのかを解説します。

リソースの削減

RPAを導入することでリソースの削減にも繋がります。

日々行われているデータ入力やメール送信、転記作業などの定型業務に1日のスケジュールを圧迫され、より重要な業務に着手できないという悩みを抱えた企業が多いです。

それらの業務をRPAに置き換えることで定型業務に割く人手が減り、その分の人手をより重要な業務に充てることができるようになります。

人間しか行うことができないような重要な業務へ十分に人手を充てることができるようになるので、企業全体の生産性向上に繋がります。

ヒューマンエラーの防止

RPAを導入することでヒューマンエラーの防止にも繋がります。

データ入力などの業務を手作業で行うことで、入力ミスなどのヒューマンエラーが発生する可能性があります。また、何度も繰り返し同じ作業を行っていると従業員の集中力の低下やストレスを発生させやすくなります。

そういった業務をRPAに置き換えれば、人間からロボットに変わりますので入力ミスなどが無くなります。

入力ミスは思わぬトラブルを招いてしまう可能性もあることから、リスク対策としてもRPAは効果を発揮します。

コストの削減

RPAを導入することでコストの削減にも繋がります。

RPAを1度導入すれば、今まで定型業務に充てていた人材をより有益な業務に充て直すことができるようになります。また、RPAは24時間365日休まず稼働させることができますので、人件費を大きく抑えることができます。

よって、定型業務に割いていた人件費をRPAでカバーし、企業の利益を上げることでコストの削減をすることができます。

まとめ

本記事では、

  • RPAで得する業務
  • RPAとマクロの違い
  • 導入事例とメリット

について解説しましたがいかがでしたでしょうか?

冒頭でも解説したとおり、定型業務、繰り返し業務、情報収集といった業務はRPAの得意分野であり、最大限効率化をすることができます。

今後も企業が成長していくためには、業務効率化が重要な要素となります。

近年、業種を問わずさまざまな場面でRPAが活躍していますが、あなたの会社はいかがでしょうか?

もし現在も定型業務によって圧迫されている場合は今すぐにでもRPA導入を検討してみるべきです。

RPAカテゴリの最新記事