この記事では、スプレッドシートのプルダウン機能を作成して活用する方法を解説します。
プルダウンを作成するだけではなく応用して色付けやカウント、データと連動しての選択などを行う方法についてもあわせて解説しています。
この記事を読むことでプルダウンが誰でも簡単に扱えるようになり、表を使ったデータの整理が効率的・正確に行えるようになります。
読んで参考になったという場合には、ブックマークやお気に入りへ追加していつでも確認できるようにしておきましょう。
RPA開発歴4年 / MICHIRU RPAエキスパート認定 / 業務改善アドバイザー
RPA導入代行サービスCoreBeeを運営しており、RPA開発に取り組む他、業務改善アドバイザーとしてあらゆる業種の業務改善に携わっている。
社内のエクセルマスターとしての地位を確立しており、今回その知識を最大限生かし執筆しています。
プルダウンの作成〜使い方
まずは、基本となるプルダウンの作成と使い方を解説します。
作成方法
では、具体的にプルダウンを作成する方法を説明します。
まずプルダウンの項目を直接指定して作成する方法です。
プルダウンを作成するには、プルダウンを作成したいセルを選択して【データ】→【データの入力規則】のメニューへ進みます。
データの入力規則のウィンドウが開いたら、【条件】の項目は【リストを直接指定】を選択します。
その横のテキストエリアには、プルダウンリストとして選べる項目を【,(カンマ)】区切りで入力します。
プルダウンリストを作成したあとに新たな項目を追加したい場合には、再度該当のセルで【データ】→【データの入力規則】のウィンドウを開きテキストエリアに追記します。
プルダウンを削除するには同様に該当のセルで【データの入力規則】のウィンドウを開き、【入力規則を削除】をクリックします。
では、具体的に表でプルダウンを使って管理をしてみましょう。
以下のような表があります。
C列の【配属先】について、プルダウンを作成し直接入力せずに配属先を入力したいという状況を想定します。
この場合【データの入力規則】のウィンドウでは以下のように入力します。
これを適用すると、C列に【▼】のプルダウンリスト選択のマークが現れます。
このマークをクリックすることで、直接入力しておいたリストの中から選んでC列の値を指定することができます。
【簡単】表データを参考に作成
先ほどのケースでは、プルダウンの作成時にリストの項目を直接テキストエリアに入力して作成しました。
一方、リストの要素となる項目がすでに表の中にある場合、たとえば配属先一覧が表の中にすでに記載されている場合があります。
このようなケースでは、直接入力するのではなく表の該当部分を範囲指定してリストを作成することもできます。
この方法でプルダウン作成後に新たな項目を追加するには、表の中に記載されているリストの要素を増やすという方法をとります。
具体的にリストを範囲指定して作成してみましょう。
この場合、C列【配属先】でプルダウンから選択するべき項目はすでにE2からE9のセルに記載されています。
このような項目をプルダウンの選択肢として指定するには、【データの入力規則】ウィンドウにて次のように指定します。
もし項目を追加する場合にはE9以下の場所に新しい項目を追加し、範囲指定でそのセルも含むように指定をすれば項目を追加することができます。
【ショートカットキー】時短しよう
エクセルを使用していると、キーボードを使って操作することが多いものです。
プルダウンの操作には、選択項目を表示させるにあたってマウスでのクリックが必要というのが一般的な認識です。
しかしプルダウンにはショートカットキーがあり、プルダウンが作成されているセルで【F2】キーを押すことで選択項目を表示させることができます。
【Q&A】作成についてよくある質問
空白はプルダウンにできる?
プルダウンで入力をする項目について、【空白】を選びたいというシーンがあるかもしれません。
しかしながら、プルダウンの選択肢として【空白】を選択することはできません。
このような場合、【未定】や【-】【なし】といった選択肢を用意することで代替する対応がよいでしょう。
複数選択が可能なプルダウンはできる?
プルダウンを利用する場合に、複数の項目を選択したいというケースもあるでしょう。
しかしながらプルダウンは選択肢の中から1つの項目を選択するという機能であるため、複数項目を選択することはできません。
複数のデータを利用するようなプルダウンを作成したい場合には、セルを分けてそれぞれにプルダウンを作成する必要があります。
スマホで作成はできる?
スプレッドシートはAndroid、iOSのアプリがリリースされており、基本的な機能を利用することができます。
しかしながら、2022年6月現在ではスマホ版スプレッドシートアプリではプルダウンの作成はできません。
【応用】プルダウンの選択肢を連動させる
プルダウンの作成を行うにあたって【ある選択肢に連動して別の選択肢が表示される】ようにすることができます。
たとえば【都道府県】をプルダウン選択した際に、もうひとつのプルダウンでは【該当の都道府県に存在する市町村の名前だけにする】というプルダウンになっていれば非常に便利です。
このようなプルダウンは、プルダウンの作成に加えて【関数】を使用することで実現することができます。
まずは上記のような表を作成し、都道府県・支店名をこれまでの記事で学んできたように【データの入力規則】からプルダウン選択できるようにしました。
すると、画像注釈にもあるように【どの都道府県を選んでもすべての支店が出てきてしまう】という状態になります。
これを【選んだ都道府県によって該当する支店だけが選択肢に表示される】という状態にします。
そのためには、まずデータ入力用のシートを追加します。
このデータシートの内容についてはまず【該当となる都道府県全て】【選択肢となる支店すべて】を右方向に向けて記載していきます。
この部分には【参照用リスト】と名前をつけておきましょう。
そして、スペースを空けたうえで【結果表示範囲】を作成します。
データ用シートの準備ができたら、【データの入力規則】を設定していきます。
B列については、データシートの中で都道府県が記載されている部分になります。
そのため、【A2:A6】の範囲をカバーしておけばよいでしょう。
次にC列のデータの入力規則なのですが、これを入力する前にデータシートに関数を入力します。
まず、【結果表示範囲】の一番左側には、【=’支店一覧’!B3】の式を入力します。
これは先ほどの【支店一覧】の表で都道府県を選択した際に、ここに選択したものと同じ結果を反映するために入力しておく場所です。
次に、右隣のB列セルに、以下の式を入力します。
=iferror(VLOOKUP(A10,$A$2:$F$6,2,0),””)
IFERROR関数は、関数の計算結果がエラーとなった際に【””】で囲んだ場所に記載した特定の文字列を返すことができる関数です。
今回は空欄としていますが、【支店一覧】の表で想定外の値が入力された際に表示されるエラーを予め入力しておくこともできます。
たとえば【該当店舗なし】などの利用が考えられるでしょう。
次に【VLOOKUP】ですが、この関数は表を縦方向に検索する関数です。
この式は、【A10セルに入力された値で表全体を検索し該当する行の左から2番めの値を返す】という式なのです。
なお、A2:A6の範囲に記入されている【$】のマークは【絶対参照】というものです。
この式を別のセルにコピーしたとしても、このマークが記入されていれば参照する範囲が変わらずそのまま稼働します。
これをB10セルに入力したら、次はCからF列までを入力していきます。
基本的な式は同じなのですが、C列は左から3列目のため式の最後にある【2,0】を【3,0】に変更します。
D列は【4,0】と、F列まで数をひとつずつ増やしていきます。
ここまで入力できたら、いったん【支店一覧】の表に戻ってC列のプルダウンを設定します。
C列のデータ入力規則における検索範囲は、先ほど関数の式を入力した範囲となります。
つまり【データシート】のB10からF10ということになります。
これを適用したら、さっそく動作確認をしてみましょう。
画像注釈にあるように、B列で選択した内容によってC列の表示内容が限定されるようになりました。
ちなみにこのとき、【データシート】のほうはどうなっているかというと、上記画像のように表示されています。
関数が適切に動き、【東京都】の行にあるそれぞれの支店を参照していることが確認できます。
最後の仕上げに、表の残りの部分にもこの仕組みをコピーしていきます。
データの入力規則が入っているB列・C列のセルを選択すると右下に青色の【・】が表示されるのでその部分をクリックし、下方向へドラッグします。
【データシート】の方は、結果表示範囲のうちA10からF10の範囲を選択し、同様に下方向にドラッグしていきます。
なお、この【結果表示範囲】の行数は【支店一覧】の表の行数と対応しています。
そのため、支店一覧の表の行数分と同じ数だけ結果表示範囲を下方向へドラッグしておきましょう。
関数を入力する手間はありますが、この方法をとることで連動したプルダウンを作成することができます。
【応用】内容に連動させてセルに色を付ける
プルダウンを使って表を管理することで、入力の効率はかなり向上します。
さらに、入力した表が視覚的にもわかりやすいとビジネスシーンでは活用しやすいものとなるでしょう。
プルダウンで選択した内容によってセルに色付けができれば、視覚的に状況がわかりやすくなります。
このような色付けを行うためには、【条件付き書式】を活用します。
色付けを行うセルがある列を選択して【表示形式】→【条件付き書式】のメニューに入ります。
【条件付き書式設定ルール】のウィンドウが右側に出てきたら、【+条件を追加】をクリックします。
条件付き書式の設定方法は、【指定した範囲に設定したルールに当てはまる内容が入力されたときに書式設定のスタイルを適用する】という方針で設定します。
この場合、B列またはC列に【済または未】の入力があったとき、それぞれの色をつけるという設定が適切です。
したがって、書式ルールは最終的に2つ作成しておくのがよいでしょう。
書式設定のスタイルについては運用しやすい、見やすい色が選択されていれば自由です。
2つのルールが設定できたら、上記のような画像となり冒頭の画像のように【済・未】のそれぞれにセルが自動で色付けされるようになります。
連動したセルに色付けをするケースとして、以下のような場合が考えられます。
- 2~3種類の限られる選択肢の表で、誰がどのような選択をしたのかわかりやすい表にしたい
- 研修進捗や手続きの完了状況など、一目で進捗管理をしたい
【応用】プルダウンの内容をカウントする
プルダウンと条件付き書式を使って進捗状況などを視覚的にわかりやすく整理することができましたが、実際に管理側の視点で考えると実施状況を数字で管理したいケースも多いでしょう。
先ほどの表の例で言えば、【実際に研修を完了している人は何人で、あと何人が研修を受けていないのか】ということが自動で計算されれば便利です。
このようなケースでは、【COUNTIF関数】を利用します。
COUNTIF関数は【指定範囲から指定の文字列や値の数を数える】関数です。
そのため、今回は以下のように式を記述します。
=COUNTIF(B3:B11,”済”)
=COUNTIF(B3:B11,”未”)
また、【個人情報研修】の列にもCOUNTIF関数を追加します。
=COUNTIF(C3:C11,”済”)
=COUNTIF(C3:C11,”未”)
このようにしておくと、プルダウンで【済・未】が変更されるたびに関数が自動でその数をカウントしてくれるようになります。
目視で数えるよりも正確で、視覚的にも管理しやすい表となりました。
まとめ
プルダウンは入力規則を自分で作成し、決まった値を入力させることができるようになる機能です。
選択するだけで入力できるため、いちいち決まった値を手入力するよりも効率的で間違いもありません。
さらに規則外の入力を防止することもでき、プルダウンでの入力規則を連動・色付け・カウントをして視覚的にもわかりやすくすることもできます。
表計算を扱う担当者の方にとっては活用シーンの多い機能となりますので、ぜひ忘れないようブックマーク・お気に入りへ追加して繰り返し確認するようにしましょう。